芸術にできること。
「あの時、死んでしまえばよかった」と思う時も。

Covidの感染、予防で大変なところへ、今年も水害が起こっています。
いまからみれば、僕が子どもの頃は冷戦で、核戦争の恐怖は通奏低音として鳴り続けていたけれど、相対的には平和な時代だったのかな、などとも思います。
95年の神戸の地震くらいから、何か流れが変わってしまい、いまでは、毎年大災害が起こる。今回のパンデミックでは、日本人は当初結構ビビって用心したので、まだ死者数は比較においては少ないけれど、世界中では恐ろしい数の人が死んでいる。
こういう時にちょうどできてしまったのが、今回の新しいkindle本です。
昨年1年間に出たクラシックのCDを全部聴いて、これは!というトラックをどんどん紹介していく、というコンセプトで、結局1417タイトルを試聴、うち497トラックをツイートしました。これをベースに、各アルバムの情報と、ストリーミング全曲試聴を外部サイトで(とりあえず、リリース時点では!)実現しています。
95年の神戸の地震のすぐ後に僕が書き始めたのは『アイム・イン・ブルー』という本で、あの時は、今回は間に合わなかったけど、こんなこともあるんなら、次の避難所で、何か楽しく、面白く読んでもらえるようなものを…という気持ちがありました。地震の経験から作家が引き出してくる答えは様々でしょうが、僕の場合はまず、そういう形で出てきました。
多くの人が命を落としている時に、楽しい読み物も何もないだろう。そういう反応をする人もいるでしょう。
もっというと、のちに作家になってしまうような子どもとして、僕も10代の最初には、例えば、飢餓に苦しむ人たちが現実にいる時に、芸術に果たしてどれほどの力があるだろうか…と思春期らしいことも、それなりに自問した時期もありました。その時は、人はパンのみにして生きるものにあらず、とか、そういう抽象的な答えしかでずに、多分お茶を濁していたように思います。
そこにもう少し具体的な自分の立場が決まってきたのは、やはり95年の地震からで、例えば、地震があった時、まず大事なのは命を守ること。
次に、なんとか命を守ったら、そのあと、なんとか生き続けていくこと。
そこには、あるいは芸術の出番はないでしょう。
けれど、災害後の生活は、日々の積み重ねになって行きます。
最近の災害では、1週間や、1ヶ月、水が出ない、ガスが出ない、道路が通れない、電車が通らない、それで大騒ぎになっていますが、神戸では、それが何ヶ月も続きました。
いや、今の方が、ひどいかも。神戸は、みんなだったから。
いずれ全ては終わったことになって、それが普通になって、日常になる。
そういう時にね、
「ああ、あの時、死んどけばよかったなぁ…」とふと思う。
そう思ったとしても、それはぜんぜん変なことじゃない。つまり、そう思う人は、あなただけじゃない、ってことですね。口に出していわなかったとしても。
そういう、まぁ、弱音、ってことになっちゃうんだろうなぁ。
そういう前向きじゃない気持ちになった時、
ほんとに淋しい気持ちになった時、
ふと何か救いになるもの。それは自然とか、人の優しさ、とかかもしれない。そういう人も、いるでしょうね。でも、それではだめな人もいる。
そういう時に、何かほんとに自分の好きなもの、文学かもしれないし、映画かもしれないし、音楽かもしれない。それも、ほんとに人それぞれとは思うけど、そういう、人の作ったもの、芸術といわれるものに触れることで、ふとね。救われる、まではいい過ぎ、かも、ですが。
「ああ、あの時、死んどけばよかったなぁ」っていうのは、
もっというと、
「ああ、あの時、あの人と一緒に死んどけばよかったなぁ」ということでも非常にしばしばある、と思います。
「生きてたって、こんなことなんだったらさ…」そう思う。
そういう時に、ふと、ね、そのほんとに自分の好きなもの、それが例えば音楽だったら、何か、ものすごく自分の心に届いてくる、そういう音楽を聴いて、大泣きに泣いたりする。それで、そのあと、何にも変わってないんだけど、なんだかちょっとせいせいしたような気持ちになる。
いいことなんか、一つもないけど、それでもあの時死んでたら、やっぱりこの音楽も、いま聴いてないんだよね。そうふと思ったりすることはできる。
この本には、そういう音楽が必ず入っている、と思います。
もちろん、百発百中ではないですよ。そういう曲に1曲も出会えない、という人もいるかもしれない。でも100人に一人でも、そういう1曲を見つけてくれる人がもしいたら、それだけでも、この本を作った意味はやっぱりあったんじゃないか、と思う。kindle本は、まだまだ、メジャーじゃないけれど(笑)
今回は読み放題とキンドル・オーナーズ・ライブラリィにも登録しておきました。どちらかに入っている人には、無料でも読んでもらえます。時間が空いた時にダウンロードして、1曲でも、2曲でも、どうぞ気になったトラックを聴いてみてください。(パソコンからなら全曲無料試聴も現時点では可能です)
『クラシック名曲名盤 #新譜早耳2020』
〜全497ツイート/1417枚試聴!!〜

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La vie continue… それでも、人生は続いていく。