RBG逝去とその後のT統領

Yûichi Hiranaka
8 min readSep 25, 2020

Ruther Bader Ginsburg逝去後、tumblrに映画『RGB』トレイラーをクリップし、追悼的に所感を述べておきましたが、さらにその後の45代T統領と支持者の動きが、たぶん大抵の人の想像以上にひどいので、そのあたりをフォローアップします。

Remembering Ruth Bader Ginsburg | NYT News https://youtu.be/VRlEFT-44Ik

まず、最初の部分はtumblrにポストした内容なので、既に読んだという人は飛ばしてください。
その後のフォローアップは、↓↓の2つ目のヴィデオ、米最高裁に告別のため安置されたRGBの棺に“表敬”訪問した際のブーイングを受けるT統領の映像の後より。

Ruther Bader Ginsburgが亡くなり、現第45代大統領が、アメリカ最高裁に3人目の保守派判事を送り込もうとしています。
最高裁判事は終身なので、これで今後20年程度(?)大統領が誰になろうと関係なく、保守6対リベラル3で、
銃規制も難民保護も同性婚も、全部最高裁でひっくり返される可能性が出てきました。
だからこれは、社会正義の実現(人種差別、男女差別、少数派差別、社会格差の解消など)を目指す、アメリカのリベラル、プログレッシヴにとっては大変な事態。

CNNではやっぱり(笑)このフィルムの再放送が始まりました。
アメリカではここ、Tumblrから、サブ・カルチャーのアイコンにまでなったというRBG。
でも日本ではもちろんそれほどは知られていないはず。

この映画の字幕版は、アマゾンでも視聴できるので、ぜひ見てもらえるといいと思います:

RBG 最強の85才(字幕版)
amazon prime video https://amzn.to/3iZ8HYw

…この映画を観て僕が思ったことは、まず、

僕は80年代に仕事をはじめましたが、思えば当時の日本は戦争もなく、
— 地域戦争や紛争、内戦はあっても、日本からは地理的に遠く —
高度経済成長も終わって物質的な豊かさがあり、
まだまだ社会問題はあっても、このまま右肩上がりに底上げされて、
世界はいまより良くなっていくんじゃないか。。
そんな幻想を(今から見れば!)持てた時代でした。

しかしこの映画を観てみると、RBGが育ったアメリカは、あの赤狩りの時代。
いいたいことが自由にいえない、いま以上の恐怖の時代でした。
女性差別、さらに人種差別との戦いは、
そういう苦しい時代の中から生まれてきた、ということです。

80年代の日本に、回り回って希望があった、
例えば、法の前に人は、男も女も、どんな人種もみんな平等である…
などということを、「常識」として主張できたのは、
この作品にとりあげられているRBGの非常に粘り強い、かつスマートな戦いの積み重ね、
— ニットを編むような、と例えられていましたが —
そういったものがあればこそ、だったわけですね…。

確かに80年代と比べると、今はなんとも悪い時代ですが、
しかし、いいことはそういう悪い時代から始まる。
Covidの追い打ちで、さらに最悪のようですが、
たとえば、それがこれまでの効率化=三密の追求
とは違ったモデルを否応なしに生み出す力になるかもしれない…。
自助努力、などともっともらしい四文字熟語で(笑)
弱者を切り捨てることもできなくなるかもしれない…。
(医療費が払えない人を切り捨てては、ヴィルスはそこに生き残り、医療費を払っている人も脅かし続けますから!)

もうひとつは、このフィルムの中でいわれている
“straightforward”
ということ。

字面からいうと、まっすぐ前へ、みたいですが(笑)
まぁ、ふつうの英語だと、シンプルで誰にでも判る、とか、
正直で裏表がない、というような意味になる、と思いますが、
…RBGが、このケース(訴訟)は私がやる、これはストレイトフォワードなケースだからできる、といった、というような話で出てきたように思います。(はっきり憶えていませんが!)
このストレイトフォワード、ということが、とても大事だなぁ、と思いました。

何か、ごちゃごちゃ細工をしたり、くねくねねじ曲がった話になるのは、何か、やっぱり無理があるんじゃないか。
正攻法で、まっすぐぶつかって行かない、来ないのは、
どうも胡散臭い(笑)

無理があることをいい通そうとするから、ああだこうだ、しのごの、つべこべ(笑)いうことになる。
自分が間違っている、と思ったら、ああ、そうか、間違ってた!
でいいでしょう:)

このストレイトフォワードということを、折りに触れ思い出したい、
自分のやっていることや、考えていることが、ストレイトフォワードか?ということを、
折々自分に問いかけていきたい。
この映画RBGを見て、自分の今後の具体的な軌道修正法として、
…あと、今週読んでた日本語の本が、やたらしのごのいってるものだったことがあって(笑)
ふとそういうことも考えました。

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Notorious RBG: The Life and Times of Ruth Bader Ginsburg
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Trump booed as he pays respects to Ginsburg at court https://youtu.be/9z18-gnPLRg

さて、RBG逝去後の45代T統領ですが、オバマ最後の年は、共和党が一切対応せず、新最高裁判事の任命を拒み、8ヵ月も空席にし、
現在の上院の司法委員会議長は、何党の大統領であれ任期最後の年に新判事を任命してはいけない、まず選挙で国民の声を聞くべきである、文句があるならこの発言をテープにとって、いつでも証拠にしろ、とまでいっておきながら、
Kavanaugh任命で民主党がひどいことをしてきたので、もう状況が変わったといって、8ヵ月前どころか、もはや大統領選の早期投票さえ始まっているのに、新判事を即座に任命しようとしています。

(Kavanaugh問題については「Shover, grabber and cheater.」「 保守の判断、リベラルの判断」もご参照のこと)

これは、最高裁判事は終身であるため、多数を握れば今後30年程度は選挙でどうなろうと最高裁で政府の決定をひっくり返せる、ということだから、という点はtumblrにも書きましたが、
いまの上院与党代表は最高裁だけでなく、上から下まで司法を保守で押さえることをライフワークにしている人で(笑)最高裁以外もどんどんT指名判事でオセロのように陣取りを進めています。

ここまでは、これまでのニュースを見ていて判っていたことなのですが、Tには別の思惑があり、つまり選挙で負けた場合、最高裁で選挙結果自体をひっくり返し、大統領を続ける、ということのほうが目先の目的だったようです。

特に自分の負けそうな州について、郵送投票で不正が行われている、という前宣伝を徹底的にやっているのもそのためで、

ついに記者会見でも、大統領選はインチキだから、負けても俺は続ける、と表明しました。

BLM直近の、Breonna Taylor事件で警官に処罰なしとされた決定への抗議では、抗議デモの周囲をT支持派の militiaが取り囲んでいるとの報道もあり、
militia、武装集団はTのそそのかしを受けるかたちで動いているので、大統領選挙T敗北の場合、政権の平和的な移譲(これこそアメリカ民主主義の根幹ですが!)を危ぶむ声も出ています。

このあたりのアメリカの現在の状況は、予想以上、想像以上に悪いのではないでしょうか。

建国の父たちも、TVとかインターネットのようなものから、一部大衆の支持を受け、バフチンのカーニヴァル論を地で行くような“道化の王”が誕生してしまうことを予想できなかった…
時代の申し子的なある種のcon artistが、建国時とは構成バランスが変わってしまい、多数決で負けても大統領になれる仕組みを活用し、大統領になってしまうことを予期できなかった、ということで、
米憲法原初の精神に忠実であろうとする保守派の法律家たちには、もはやこの45代を止めることなどできないのかもしれません。

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*関連するポスト→ 「トランプ・チームに学ぶ、嘘をつき通して論破されない技術
というと、すごそうですが、ルール・ブックとしては、実はかなりシンプルで、そこを守り切れるか、どうか。知的な人には、少し難しいかもしれません…(笑)

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